わたしたちの取り組み

こごめのいり再生

加茂湖は、新潟県の佐渡島にある周囲およそ17kmの汽水湖です。大地をうるおした水と海からの豊かな潮が混ざり合う水辺です。周りの丘陵地から伸びる細長い台地が入り組んだ湖岸を形成しているため、湖奥(海とつながっている湖口から見て奥の方)には、深く切り込んだ入江が点在しています。

その一つ、秋津地区にある「こごめのいり」という小さな入り江で、わたしたちは自然再生活動を行っています。この入り江の周辺は、かつて「籠米」という集落でした。そのため、このような名前がついています。

加茂湖は、湖岸にヨシ原が広がる生き物豊かな水辺として、かつて地域の人びとの暮らしと密接なかかわりをもっていました。現在は20世紀はじめから発展してきたカキ養殖業の場として活用されてはいるものの、矢板護岸による水の流れの遮断、生活排水の流入、漁業ゴミ・生活ゴミの増加などにより環境が悪化し、あまり人を近づけない水辺となっています。



カモケンの取り組み

こごめのいりは、加茂湖のなかでも特に水の流れが悪く、湖底の有機物の過剰堆積や漂流ゴミの問題が深刻です。ひと目につかないところにあるため、粗大ゴミが投棄されることもありました。この入り江を、人びとが集う自然豊かな水辺へと変えていこうと、わたしたちは2010年7月からヨシ原再生に取り組んでいます。
みんなの力で自然再生を行う「市民工事」によって、こごめのいりは大きく変化しました。

もともと生えていたヨシを刈り、隙間に堆積した3トンを超えるゴミを拾いました。水辺のシルト状の土砂にカキ殻を混ぜ込み、ヨシ場を広げていきました。加茂湖は冬になると波が強くなるため、土砂の流出を防ぐ目的で竹の囲いやしがらみをつくり、ヨシ場を固定しています。ヨシ原は徐々に広がっています。